旬の野菜をたっぷり味わうシンプルレシピでいたわりのスープレッスン

食生活を改善しなさいと言われた。

自炊もして野菜も頑張って食べていたはずなのに、肌荒れが酷くなっていた。


スープのレシピ本著者、有賀 薫さんを知る

ウェブの記事を読んでいて、スープ作家と名乗る人がいると知った。

有賀薫さんだ。

お子さんが朝起きるのが苦手で、朝食に美味しいスープがあれば目覚めてくれるだろうという発送から毎日スープを作り続けていたらしい。

毎日の研究の中からたくさんのレシピが生み出され本になった。

私は味噌汁が好きだから、スープというのはフレンチとか洋食屋さんとかで食すのが良い。家で作るスープはあまり美味しかった覚えがない。

長年の習慣と記憶が地層のようになり、ステレオタイプは出来上がる。

素敵なスープの写真を眺めても、有賀さんの本を購入してみようと思わなかった。


食指が動いたのは夏、「帰り遅いけどこんなスープなら作れそう」だった。忙しい生活を送る編集者の方と二人三脚で作ったということだったので、簡単に作れるならいいなと思った。

夏はへばっていてスープを作ろうとも思えなかった。そして、夏でなくとも遅く帰った日はもう一ミリも動きたくないのだった。

外食もコンビニもどうもしっくりこない困っている人の本をせっかく作ってくれたのに、購入も決められない自分にがっかりした。


疲れているときに食生活が悪くなるスパイラル

疲れている時はジャンクフードを食べたくなる。そして一旦食べてしまうと、味の濃いものを欲するようになりずっと食べ続けてしまう。体もあまり回復しないので、料理するのも面倒で、また適当なものを食べてしまう。

ジャンクフードが原因だと気づくまでに時間がかかった。


旬の野菜をたっぷり味わう究極のシンプルレシピ「スープレッスン」を手に入れる

秋になり、夏バテからも解放され料理に取り組む余力ができた。

そんなとき、またスープの本の記事を読んだ。

「スープレッスン」

断面に焼き目のついたキャベツのかたまりに厚切りベーコンがごろっと入ったスープが表紙になっている。

これはいいかもと思った。

スープをおまけに添えるだけの汁物と考えると、一品増える感じで荷が重い。

この表紙のように食べるスープなら、やる気が出そうだ。それに、具材がシンプルなのもいい。たくさんの野菜を刻むのは根気がいるからしょっちゅうできない。


本屋に行って見てみる。

昔は、レシピ本の前書きは読まなかったけれど、最近は読むようにしている。料理家の方が知恵を披露してくれて素晴らしい写真が載せてある本はたくさんある。もはや優劣などはなく、それぞれが輝かしく存在している。その中で、自分にフィットしたものをどう選ぶかが重要だ。

「スープレッスン」前書きを読み終える頃には、購入を決めていた。

「家族がいても一人暮らしでも、忙しいを送っている人がその日に食べるものを考え、作ることは、なかなか大変な仕事です。

コンビニのお弁当や加工品、レストランをうまく頼って家事を軽減することも必要ですが、それだけでは食べる楽しみや豊かさ、健やかさが感じられないという人も、多いのではないでしょうか。毎日のことだからこそ、味の好みや体調、それに家計にも合わせて細やかにコントロールできる料理は、暮らしの大きな武器となります。


そう。私は暮らしに強い「武器」が欲しかったのだと気づいた。




スープレッスンの「にんじんの塩スープ」を作ってみた

早速購入し、具材が人参だけで作れるスープを作ってみることにした。

材料もレシピも本当にシンプルで、味はレストランで食べて一番美味しかった人参を想像させた。

それぞれのレシピに書いてある料理のコツは、これがレッスンなんだなと思った。料理の上達を助けてくれる。


簡単なものを丁寧に作った。

スープ皿によそって、食べてみると驚いた。スープに人参の甘みが染み出している。そして最初に入れた塩がそれを一層引き立てる。具材の人参も柔らかく甘い。レストランで食べて一番美味しかった人参はそこにあった。調理する前はスーパーで買ってきたただの人参だったのに。

体に沁みていく。


いたわりのスープ

私は夫と二人暮らしだけれど、平日は夕食を共にすることはない。

夫は私より遅く帰ってくるのだけど、それまで待って食べると次の日の朝に胃がもたれてしまう。だから無理に合わせずに、休日に食べるご飯を二人で楽しむようにしている。

平日の食卓は一人暮らしのようだ。

私は食べることが好きなので、一人でも楽しめていたはずだった。

でも自分のご飯は誰かに作るご飯よりずっと手抜きをしてしまう。残りものを温めないで食べたり、面だけを茹でて食べたり。

でも、人参スープの日はその日に作って出来立てを食べた。


自分のために作った気がした。

自分を大切にするっていうのはこういうことなのかもなとも思った。


食べ終わったあと、直接あったことのない、話したこともない著者、有賀さんの優しさが伝わってくる気がした。


そして少し泣きそうになった。

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